第13回岩手公衆衛生学会総会特別講演

産業保健と公衆衛生

中屋 重直

岩手医大医学部客員教授
関東自動車工業(株)岩手健康管理センター所長


1.はじめに

 私は28年前の1974年に岩手医科大学医学部衛生学公衆衛生学講座に就職した。岩手公衆衛生学会に対して私はもちろん仲間内のつもりできたけれども、このほど企業専属産業医として転進したのを機に、これまでの産業保健研究をまとめて話すようとの角田学会長からの推薦をいただいた。これはたいへん光栄なことと受け止め、深く謝意を表するとともに、各田先生のご指導のもとで講座の同僚と同門各位ならびに岩手県予防医学協会の面々との共同研究で進めてきた「岩手の産業保健の課題と対策」に関して報告することにした。
 それらは個々に日本産業衛生学会を中心に毎年研究発表をかさねてきたものであるが、総括するのは今回が初めてである。そして、産業保健と地域保健の両者に関わってきた心算の私自身も、改めて公衆衛生の実学の奥深さを実感次第である。多くの人に、珍しい作業環境や被害の症例を知ってもらえば、少しは役立つものと考える。表面的接近であることはもとより承知の上で、その時に必要な対処をなせたならば結構、という姿勢できたのである。参考となるようテーマごとに学会発表を一覧に示した。

(岩手公衛誌,13(1・2),9-20,2002.)


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