基本健康診査におけるγ―GTP値の有効活用に関する研究

遠藤ツヤ *1 / 立花恵美子 *2 / 稲葉洋子 *3 / 佐々木久美子 *4 / 中屋重直 *5

*1 岩手県精神保健福祉センター / *2 岩手県大船渡保健所 / *3 岩手県盛岡保健所 /
*4 岩手県岩手保健所 / *5 岩手医科大学医学部衛生学公衆衛生学講座


キーワード : 基本健康診査,γ―GTP高値者,保健指導,飲酒行動,飲酒に対する認識

要約

 基本健康診査におけるγ―GTP値をアルコール関連問題の予防活動に有効活用するため、平成5年度岩手県内で実施された基本健康診査において、γ―GTP値が100単位以上の40歳代と50歳代の男性550名を客体として、(1)γ―GTP値を保健指導の対象選定に活用できるか、(2)γ―GTP値高値者の特徴、(3)習慣飲酒者に対する保健指導の留意点、以上の3点を明らかにすることを目的にA群(GOT<60単位、GPT<60単位、γ―GTP≧100単位)、B群(GOT≧60単位、GPT≧60単位、γ―GTP≧100単位)の2群にわけて、健康状態、生活習慣、飲酒行動、飲酒量に対する認識等について比較検討、またγ―GTP高値者の特徴等について分析検討した結果次のことが明らかになった。(1)A,B2群間にほとんど有意の差がなく、γ―GTP値をアルコール関連問題の保健指導の対象選定の一次スクリーニングに活用できる。(2)γ―GTP高値者は、週4日以上の飲酒、空腹で飲酒、つまみをとらずに飲酒、飲酒すると食事をとらない等の生活習慣を持つ者が多い。(3)γ―GTP高値者の中にはアルコール依存症を疑われる者もいるので、飲酒行動等についても把握が必要である。(4)γ―GTP高値者は飲酒がくせになっている者が多く生活習慣の改善を図るためには、単にアルコールの問題として捉えるのではなく、広く成人の保健指導として考えていくことが必要である。

(岩手公衛誌,7(1),74-81,1996.)


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