女子大学生における運動部活動が骨密度に及ぼす影響

栗林 徹 *1 / 鎌田 安久 *1 / 千葉 新子 *2 / 加藤 広美 *3 /
小野田敏行 *4 / 野原 勝 *4 / 立身 政信 *4 / 角田 文男 *4

*1 岩手大学教育学部保健体育科 / *2 三陸町立吉浜中学校 /
*3 釜石市立平田小学校 / *4 岩手医科大学医学部衛生学公衆衛生学講座


キーワード : 骨密度,女子大学生,運動部活動,カルシウムの摂取量,縦断的調査

要約

 最大骨量を獲得する時期に当たる大学期の運動部活動が女子大学生の骨密度に及ぼす影響について縦断的に検討した。対象者は大学1年生女子で、運動部活動を行っている者10名、運動部活動を行っていない者10名である。骨密度の測定は全身の骨密度の指標として臨床的に最も多く測定される腰椎、海綿骨に富み荷重骨としても腰椎に類似する踵骨、さらに荷重骨ではない橈骨について、入学時と6ヶ月後の2回行った。また、この間の栄養摂取状況も調査した。
 その結果、6ヶ月間の運動部活動による骨密度の増加は、腰椎と踵骨でみられ、特に、踵骨について顕著に認められた。直接衝撃のかかる踵骨はスポーツ活動が骨密度に及ぼす影響が大きいことが示唆される。
 栄養摂取状況については、運動部活動を行っている者は、一般の学生より摂取量が多く、なかでも、カルシウムの摂取量については明確な差が認められ、その主な摂取源である牛乳の摂取量についても運動部活動を行っている者に多い傾向が認められた。しかし、カルシウムの摂取量と骨密度の変化量に相関関係はなく、運動部群でカルシウム摂取量の低い対象者でも骨密度の増加がみられた。
 女子大学生の骨密度の増加に適切なカルシウムの摂取が重要であることはもちろんであるが、日常的な運動部活動は骨密度の増加により大きく影響することが示唆された。

(岩手公衛誌,7(1),99-106,1996.)


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