女子大学生における運動部活動が骨密度に及ぼす影響(第2報)

栗林 徹 *1 / 鎌田安久 *1 / 高橋恵子 *2 / 小野田敏行 *3 / 野原 勝 *3 /
勝山 彰 *3 / 小栗重統 *3 / 立身政信 *3 / 角田文男 *3

*1 岩手大学教育学部保健体育科 / *2 滝沢村立柳沢小学校 /
*3 岩手医科大学医学部衛生学公衆衛生学講座


キーワード : 骨密度,女子大学生,運動部活動,カルシウム摂取量,縦断的調査

要約

 最大骨量を獲得する時期に当たる大学期の運動部活動が女子大学生の骨密度に及ぼす影響について、1年6ヶ月間の縦断的な検討を行った。対象者は1993年に入学した女子大学生で、運動部活動を行っている者9名(運動部群)、運動部活動を行っていない者10名(非運動部群)である。骨密度の測定は全身の骨密度の指標として臨床的に頻用される腰椎と腰椎に類似し海綿骨に富み荷重骨である踵骨について、入学時と入学後6ヶ月、1年6ヶ月の3回行った。また、この間の栄養摂取状況も調査した。
 その結果、大学入学後の1年6ヶ月間で、両群の腰椎骨密度は有意な増加が認められた。しかし、踵骨骨密度については運動部群に有意な増加が認められたが、非運動部群には有意な増加は認められなかった。女子大学生の踵骨骨密度の増加には運動による刺激が重要であることが示唆された。また、運動部群の踵骨骨密度は非運動部群にくらべ有意に高値であったが、腰椎骨密度では両群で有意差は認められなかった。大学期の運動部活動が女子大学生の骨密度に及ぼす影響について検討するためには、今後例数を増やし検討する必要があると思われた。

(岩手公衛誌,8(1),88-93,1997.)


閉じる