岩手県対ガン協会における子宮体がん検診の成績

Result of mass screening for endometrial cancer in Iwate Cancer Society

昆 千晶 *1 / 熊谷 裕子 *1 / 利部 輝雄 *2

Chiaki Kon, Yuko Kumagai, Teruo Kagabu

*1 岩手県対ガン協会 / *2 盛岡赤十字病院


キーワード : 子宮体癌、集団検診、子宮内膜細胞診
key words : Endometrial cancer, Mass screening, Endometarial cytology.

要約

 子宮内膜細胞診による子宮体がん検診にはsampling error、細胞診断の困難なことなどの問題があるが、今回1987年から2000年までの14年間に老人保健法に基づき岩手県対ガン協会で実施された体がん検診の実施状況と子宮内膜細胞診6,277例の結果を分析し、それらの問題点を検討した。一次検診の結果は内膜細胞なし864例13.8%、陰性4883例77.8%、陰性要再検326例5.2%、疑陽性198例3.2%、陽性6例0.1%で、要精検率(疑陽性+陽性)は3.2%、要再検率(内膜細胞なし+陰性要再検)は19.0%であった。精検の結果、子宮体癌12例(6.3%)と子宮内膜増殖症27例(14.3%)が発見され、子宮体癌の発見率は0.19%、陽性反応適中率は6.35%であった。また陰性要再検からは子宮体癌2例1.0%、子宮内膜増殖症6例2.9%が、内膜細胞なしからは子宮体癌1例0.2%、子宮内膜増殖症7例1.4%が発見された。今後の問題点として、1)子宮内膜細胞採取法の検討が必要であること、2)子宮内膜細胞診の判定には困難な場合があること、があげられる。

(岩手公衛誌,14(1),17-22,2002.)


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