無作為割付介入研究と介入研究

岡山 明

*1 岩手医科大学衛生学公衆衛生学


1.はじめに

 介入研究は現在EBMの花形である。優れた疫学研究であっても無作為割付介入研究(Randomized Control Trial : RCT)の結果を前にすると成果がかすんでしまうことも多い。エビデンスのレベルからはRCTが最も高い地位を占めることはよく知られている。では他の疫学研究よりどこが優れているのだろうか。
 前向き研究や患者対照研究を総称して観察研究と表現する場合がある。対象となった集団に特別な働きかけをするのではなく、対象者の生活習慣や治療状況が予後にどのような影響を与えるかを観察し比較検討するものである。観察研究における個々人の危険因子の有無は生活信条やその他の生活習慣などの総合的な結果であり、厳密に単独の危険因子の有無のみを比較できることは少ない。どのような結果を得たにしろ、未知の因子を含む種々の交絡因子の存在を常に考慮しておく必要が生じる。
 これに対して介入研究では介入群と対照群を無作為に分けるため、対象となった薬品などの摂取状況以外については、2つの群の差は偶然によるものに限られる。このことから対象要因以外の影響を極力除外することが出来るのが特徴である。一方、介入研究では観察研究とは比較にならない費用と手間がかかる。従って明瞭な仮説と成功の見込みがなければ実施することは危険となる。本稿では介入研究の基本的な構成について述べ、生活習慣病の予防のための介入研究について述べる。

(岩手公衛誌,15(1・2),1-7,2003.)


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