動脈硬化症の新たな指標−高感度CRP値の臨床・疫学的重要性

大澤 正樹 *1 / 岡山 明 *1 / 中村 元行 *2

*1 岩手医科大学衛生学公衆衛生学 *2 岩手医科大学第二内科


要約

 動脈硬化症には発症初期から炎症反応が関与し、病態の進展やプラークの破綻にも炎症の介在があることを概説した。動脈硬化性疾患の予後に関する研究により炎症反応の指標である高感度CRP(C-reactive Protein:C反応性蛋白質)高値が重要なリスク因子の一つあることを紹介した。臨床・疫学研究で高感度CRP値と動脈硬化性疾患との関連を具体的に提示した。また日本での研究についても触れ、従来の研究結果と、現在我々が行っている県北コホート研究の相違点や生活習慣との関連について触れた。最後に、AHA(American Heart Association アメリカ心臓病協会)の声明について述べ、高感度CRP測定の現時点での適応について概説した。

キーワード:高感度CRP、動脈硬化症、炎症、疫学研究

(岩手公衛誌,15(1・2),8-16,2003.)


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