要約
平成14年度から県下市町村では、在宅介護サービスの充実を目的に精神障害者訪問介護事業(在宅精神障害者ホームヘルパー派遣事業)を実施している。
@この事業が在宅精神障害者の主観的満足度に与えた変化と障害者が今後期待するサービスの内容、A精神障害者ホームヘルパーが事業を担当するうえでの不安感とその対処方法、B事業担当者が精神障害者に事業を説明するための工夫や開始した事業を円滑に実施するための支援方法について、聞き取り・自記式アンケート調査及びグループインタビュー調査により主観的側面の実践評価を行った。
その結果、この事業は精神障害者の食生活、気持ちが軽くなった、買い物、住居等の項目において主観的満足度に変化があることがわかった。また、今後期待するサービスとしては、相談対応、集いの場所、見守りボランティアを希望する者の割合が3割と高かった。
精神障害者ホームヘルパーは、研修会で得た知識を実際の介護サービスを通して障害の特徴を知り、最初に抱いていた不安や心配を日常業務の情報交換等により改善するように努めていることがわかった。
事業担当者は、精神障害者へ事業説明を行うときに、具体的に詳しく説明する、パンフレットを作成する、実例を挙げてわかり易く等、様々な工夫を行っていた。
さらに、継続して支援を行うために、地域ケア会議を開催して他職種による情報交換を行っていることがわかった。
キーワード:精神障害者訪問介護事業(在宅精神障害者ホームヘルパー派遣事業)、精神障害者、ホームヘルパー、障害者プラン
(岩手公衛誌,15(1・2),21-31,2003.)