要約
歯科保健の推進において、信頼度の高い基礎調査や疾病の現状把握、これに基づく現状分析と歯科保健指標や歯科保健目標の策定、さらに歯科保健指標や目標の普及と評価という精度管理が重要基盤となる。このような背景から本研究では、診断標準化のためのキャリブレーションを重視した標準化プログラムと口腔調査システムの構築、本システムによる全県レベルの実態調査の実施、本システムの歯科医師会会員への普及、歯科保健指標作成への効果を検討した。
本調査研究において、岩手県、岩手医科大学歯学部予防歯科学講座、岩手県歯科医師会の各機関は、基準設定と標準化および解析、診査者研修と口腔診査、調査の事務統括をそれぞれ分担し、緊密な連携のもとに企画した。
その結果、検診標準化システムは検診誤差を軽減し、検診の精度向上とデータ処理の迅速化に有効であった。また、検診標準化プログラムに基づいて平成11年に実施された調査結果は、健康日本21における都道府県計画、「健康いわて21プラン」歯・口腔分野における領域目標に活用され、歯科保健指標作成に有効だった。さらに、平成12年度から14年度まで、岩手県内3つの郡市地区歯科医師会で研修が実施され、本システムの普及が図られた。
キーワード:口腔保健調査 検診標準化 健康日本21都道府県計画 地域歯科保健
(岩手公衛誌,15(1・2),32-35,2003.)