市町村の歯科保健活動の目標設定と評価の指標

―第1報 システム化に向けての現状と課題―

Indices for goal setting and assessment of oral health activities in municipalities,
Part T:Present states and problems for systematization

田沢光正 *1 / 佐藤 保 *2 / 稲葉大輔 *3 / 米満正美 *3 / 下屋敷昌子 *4
佐々木勝忠 *5 / 佐々木ナホ子 *6 / 互野裕子 *1 / 立身政信 *7

*1 岩手県環境保健研究センター *2 岩手県歯科医師会 *3 岩手医科大学歯学部予防歯科学講座
*4 葛巻町 *5 衣川村国保衣川村歯科診療所 *6 前岩手県盛岡保健所 *7 岩手大学保健管理センター


キーワード:歯科保健計画、指標、評価、システム化、市町村

1.要約

 歯科保健活動において、市町村単位に比較可能で経年的な指標値が解析、提供されるシステムが必要である。本研究は、そのシステム化に向けての現状と課題を明らかにする目的で行った。
 研究班を組織し、メンバーによる話し合いを中心に研究を進めた。市町村に必要な指標を健康いわて21プランなどから選択し、これについて指標値として活用されるまでの過程を、基礎データの存在(有無)、標準化、収集・解析、提供・公表の4段階に分け検討した。また、ライフステージ別(乳幼児期、学齢期、成人期・高齢期)、目標レベル別(疾病レベル、健康習慣レベル)に検討した。基礎データは日常業務から得ているもの、あるいは、今後日常業務の機会を活用し得られるものとした。
 ライフステージ別では、乳幼児期が1歳6か月健診、3歳児健診の結果を基礎データとし最も進んでいた。学齢期のむし歯の指標については、全市町村別に提供され活用されていた。成人期・高齢期は基礎データが少なく、定点調査も方法の1つと思われた。健康習慣レベルは疾病レベルに比較し遅れており、健診時の問診票の統一などが課題である。また、県(保健所、環境保健研究センターを含む)のシステム化に関する機能強化の必要性が再確認された。

(岩手公衛誌,16(1),65-71,2004.)


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