進行した筋萎縮性側索硬化症患者の意志伝達支援
−岩手県の現状とチーム支援活動の試み−

Communication support for patients with advanced amyotrophic lateral sclerosis : Present state in Iwate prefecture and trial of team support.

千田圭二 *1 / 外舘祐子 *1 / 岩渕恵子 *2 / 千葉悦弥 *3 / 管 隆寿 *3 / 山本美幸 *3

*1 国立病院機構岩手病院 *2 岩手県一関保健所保健課 *3 一関工業高等専門学校電気情報工学科


キーワード:筋萎縮性側索硬化症,意思伝達,意思伝達機器,支援体制,福祉活動

要約

 【目的】岩手県在住の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の意思伝達に関する問題点を把握し、効果的な支援法を探る。
 【方法】県内各保健所を通してALS患者92人の療養環境を調査した上で、パソコン入力やコールにおけるスイッチ使用者13人を対象にアンケート調査した。また、意思伝達について訪問相談を希望する患者に、神経内科医・作業療法士、エンジニアから成るチームで対応した。
 【結果】ALS患者の約60%が会話による意思伝達に不自由を抱えていた。調査した13人の意思伝達に関する相談相手は様々であり、既製スイッチには問題が種々あった。支援チームは効果的だったが、全県的需要への対応や迅速性の点で問題があった。
 【結論】岩手県のALS患者は、意思伝達について必ずしも充分な支援を受けていない。神経内科医・作業療法士・エンジニアなどで編制された機動的な支援チームによる、全県的ネットワークの構築が必要である。

(岩手公衛誌,18(1),56-59,2006.)


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