主観的健康感と生活習慣の関連について

Associations between self-rated health and lifestyles: review of the literature.

丹野高三*1

*1 岩手医科大学医学部衛生学公衆衛生学講座


要約

 自分自身を不健康であると感じること(不良な主観的健康感)は死亡率や疾病発症率の増加に影響している。なぜ自己の健康状態の主観的評価が死亡や疾病発生に影響を及ぼすのかは未だ明らかでないが、これまでに不良な主観的健康感は健康に好ましくない生活習慣と密接に関連していることが報告されている。本稿ではこの密接な関係について文献的に考察した。結果として、1)肥満者およびやせている者では不健康であると感じているものが多かった。2)飲酒量との関連では不健康であると感じている者は少量から中等量の飲酒者で少なく、非飲酒および大量飲酒者で多いという関連か、または飲酒量が多いほど不健康であると感じている者が少ないという関連がみられた。3)現在喫煙および過去喫煙、4)少ない身体活動、5)野菜や果実等を取る頻度が少ない食餌摂取パターンを持つ者では不健康であると感じている者が多かった。これらの結果は、自分自身を不健康であると感じている者では同時に健康にとって好ましくない生活習慣を持っていることが多いことを示している。このことは不良な主観的健康感と死亡や疾病発症のリスク増加との関連を説明する重要な要因の一つであると考えられる。今後も両者の関連をより詳細に検討し、主観的健康感が死亡や疾病発症に及ぼす影響について正しく理解することが重要である。

キーワード:主観的健康感、生活習慣、死亡、疾病発症

(岩手公衛誌,19(2),28-38,2008.)


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